第51回 ハラボテ・マッスル

オレ流超人批評
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超人界のルールブックにして様々なイベントを手掛ける辣腕プロデューサー。大きな権力を握るその正体とは…!?
出身ハラボテ星
超人強度45万パワー
必殺技殺人キーロック
胴締め
主な戦績キン肉真弓△
キン肉真弓△

 世の中にはさまざまなイベントや企画が存在しますが、それらを運営していくためには必ず裏側に指揮者コンダクターというべき全体統括者が存在します。虚構の世界であるマンガのイベントにおいては、このコンダクター役は作者本人ということになり、当然劇中ではその存在を意識されることなくストーリーが展開されていきます。

 しかしこの『キン肉マン』という作品においては、作者がやるべきコンダクターをキャラづけされ、物語の前面に登場している稀有けうなキャラクターが存在します。それが委員長ことハラボテ・マッスルです。

 彼は第1回超人オリンピック開催において初登場しました。ウルドラマンの欠場により、おこぼれでキン肉マンが日本代表として出場許可を得るための交渉相手としての登場です。

 森永ココアをダンディに飲み干す(笑)彼の印象は「意地悪な権力者」という感じで、その役割はダメ超人であるスグルの障害として物語を盛り上げるための存在でした。このスタンスは以降ブレることなく続き、彼のキャラクターを形成する大きな要素となっています。

 正直な話、彼がここまで主要キャラクターの位置を占めるようになるとは、当時はゆで先生自身も予測できなかったのではないかと思います。個人的にはスグルが日本代表の座をゲットするための障害として登場した、その場限りのキャラだったのではないかと思っています。

 ところが真弓との掛け合いがギャグになり、主人公の行く道々で障害や負荷をかけ、話を盛り上げることができる使い勝手の良さにゆで先生が気づいちゃったんじゃないでしょうか。

 そうなるとこんな便利なキャラを手放すわけがありません(笑)。笑いはとれる、物語に起伏をつけることができる、嫌味のスパイスをふることができる、たまの男気が感動をよぶ、何よりも作者の分身として物語の全体統括を誌上で任せることができる。

 こんなキャラクター他に存在しないですよ。他のマンガを見渡しても、ここまで一登場人物としてストーリーに溶け込んで、作者の代行を務めるキャラクターはあまり見たことがありません。狂言回しというわけでもないし、語り部でもない。でも物語の全体統括を務めている。ひょっとしたらこれはゆで先生の大発明なんじゃないかな、なんて個人的には思っています(笑)。

 その性格は嫌味な中年オヤジといったものです。キン肉族の大王である真弓のことを「真弓ちゃん」と呼んだり、事あるごとにキン肉王家と張り合っているところから、キン肉族に近しいライバル関係の一族であり、真弓の幼馴染的存在であることがうかがわれます。おそらく若いころは格闘家としても「馬場・猪木」のようなライバル関係だったのでしょう。

 ただ委員長としてのキン肉族に対する扱いがいちいち挑発的・嫌味的なので、真弓とは過去に大きな因縁があったことは間違いないでしょう。もちろん格闘家としてのライバル心もあったでしょうが、それだけではないような気がしますね。おそらく歴史的な血筋やお家関係の因縁だとは思うのですが、キン肉王妃であるキン肉サユリの争奪的な因縁もあるような気がしますね。その両方かな、パターン的には(笑)。

 まあ何はともあれ、そういったライバル的バックボーンを持ちながらも、格闘技の戦績は真弓に及ばなかったため、力のベクトルを格闘ではなく、政治的な権力にシフトしたのではないかと考えられます。いうなれば現役時代に叶わなかった思いを、組織運営という形で叶えた感じでしょうか。真弓やスグルに対する扱いの悪さは、若いころの仕返しという意味合いが多分に感じられます。

 そんな彼は委員長として様々なイベントの運営・設営に携わっていくのですが、イベント屋としての手腕はかなり優れているといって差し支えないと思います。

 とにかく彼の組織は仕事が早いです。今日決まった対決の準備を、明日の昼までに完璧に用意することすら朝飯前です(笑)。イベント設営の仕事をしたことがある方はわかると思いますが、大変ですよね、あれ。まさにヒト・カネ・モノの世界です。

 箱をおさえて人員を配置し、企画・設営・経理・広報・営業を並行展開で進めていくわけです。それをあんな短時間でこなすとは、相当有能なスタッフを抱えていますよ。おそらく常時有能なスタッフを募集しているに違いありません。ひょっとしたら別組織からの引き抜きも一時の巨人軍のごとくあからさまに行っていたかもしれません。「うちは給料倍出すよ」みたいな(笑)。

 個人的に彼の組織が用意したもので、一番すごいと思っているのは「手」です。えっと…わかります? 第2回オリンピックの決勝トーナメントの組合せを決めるため、巨大パチンコ台に超人を玉がわりに入れるのですが、その時超人をまとめてすくい上げた巨大な「手」です。あ、予選一発目のふるい落としをシャカシャカしたときも出てましたね。あれすごくないですか? なみいる強豪超人をまとめてポイですからね。実は一番強いんじゃないかな、アレが(笑)。

 そんな有能なイベント集団である委員会組織なのですが、ひとつだけ苦言を呈したい設営があります。『王争奪サバイバルマッチ』における、リング設営のずさんな管理体制です。

 このイベントについてはどこの組織が運営をしているのかは、初期の段階ではよくわからなかったのですが、決勝戦においてオメガマンの死体をかたずけ忘れたということで、ハラボテが叱責を受けていることから、委員会組織がイベント運営をしていたことが判明します。

 となると、当然リング管理はハラボテら委員会組織が行っていたわけです。しかしこの大会では出場選手がリングに自分勝手な仕掛けやギミックをやりたい放題に設置していました。ある者はリング下に巨大なシーソーをこさえ、ある者は水鳥の羽を大量に埋め込む。さらにある者は球形のフェンスドームを天井にぶら下げ、ある者はハイテクこの上ない浮遊装置をアドイン。ひどいもんです(苦笑)。

 夜中にどんだけの超人がコソコソ侵入して思い思いの仕掛けを施しているかと思うと、その光景を思い浮かべるだけでかなり滑稽です。水鳥の羽を仕込みに来た忍者装束の超人がリング内に侵入したら、すでに浮遊装置を挿入しようとしているタラコ唇のマーシャルアーツ風超人がいて、

忍者装束の超人
忍者装束の超人

お、おぬしこんなところで何をしているんだ

タラコ唇の超人
タラコ唇の超人

そ、そっちこそこんな夜中に何の用だ

忍者装束の超人
忍者装束の超人

い、いや拙者は夜風にあたりに

タラコ唇の超人
タラコ唇の超人

お、オレも寝付けなくてな

みたいなニアミスが起きていたりして(笑)。どう考えても運営組織の設備管理規約の改定を要求するレベルですよ。

 また、これがエスカレートしたのが決勝におけるフェニックスチームです。あらゆる場面で仕掛けを施していますから。フェニックス批評でも書きましたが、この時ばかりはハラボテがリング設営・企画をフェニックスチームに委託外注していたとしか思えません。競争入札をする時間はなかったと思いますから、おそらく特命受注でしょう。

 ただあれだけフェニックスチーム有利なリングが用意されたことを考えると、ハラボテにフェニックスから多額のキックバックがあったことも疑われるレベルです。もしこれが真実だとしたら、超人界を揺るがす大汚職事件ですよ(笑)。

 しかしハラボテの肩書である「委員長」って、フワッとしていていまいちハッキリしないですよね。そこで彼の肩書に焦点をあてて、彼とは何者なのかを考えてみましょう。

 登場当初はIOCのサマランチ会長のようなオリンピック委員会委員長だったのでしょうが、タッグトーナメントでは運営委員長だし、王位争奪編では大会委員長を務めています。現在行われているシリーズ「完璧・無量大数軍パーフェクト・ラージナンバーズ編」では、宇宙超人委員会委員長までに出世し、正義悪魔完璧の3属性不可侵条約の手はずまで整えています。

 つまり彼は「委員長」という肩書を複数持っていて、それらをひっくるめて「委員長」と呼ばれているわけです。言いかえれば属性を超えた全宇宙の超人を取り仕切る立場ともいえるでしょう。たしかに彼は、フェニックスや悪魔将軍やストロング・ザ・武道といった、あらくれキャラクターでさえ彼の提案に耳を傾けるという、一目おかれた存在になっています。その権力の集中たるや、よくよく考えるとすさまじいものがあります。

 そういったことを思うに、実は「ハラボテ=ゆでたまご」であり、マンガ内での全権を作者から託されているアバター超人ともいえるのではないかと思います。そうです、実は彼は委員長という名のゆで先生そのものだったのです!

※今回はフィガロさん、生駒山さん、ポテギさん、ノポルさん、マロピチさん、シニガミさん、オオノさん、ジョイスさん、ほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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