第49回 ザ・魔雲天

オレ流超人批評
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悪魔超人軍が誇る超人山脈。その巨躯と圧力が生み出したものは…!?
出身エベレスト
超人強度50万パワー
必殺技マウンテンドロップ
主な戦績テリーマン●
ストロング・ザ・武道●

 彼は『7人の悪魔超人編』の、7人の悪魔の一人として登場しました。牛、バネ、魚、ウォークマンといった、動物や物体をモチーフにした仲間に対し、彼とブラックホールはモチーフの範囲がやたら広い超人でした。だって…山ですから(笑)。山の中でも一応エベレスト付近の山がモデルなのかな? なんかもう漠然としすぎちゃって、よく一キャラにその雄大なモチーフを押し込めたな、という印象が強いです。

 自然にはそれぞれ霊魂が宿るというアニミズム思想がありますが、それが見え隠れするような超人だとも思います。長年鎮座していた自然に精神が宿ったというか。あ、彼の場合は悪魔が宿った、ですね(笑)。

 名前の字面もいいですね。英名を和文字であらわしているんですが、悪魔のイメージと雲、天というスケールの大きさがとても伸びやかで、体を表していると思います。ちょっと暴走族っぽいイメージもありますが(苦笑)。

 さらに彼のすごいところは、山なのに柔道着を着てしまったところでしょうか。山×柔道着。とても常人では思いつかないこの配合。どうやったらこんなスタイルを考えつくかなあと、ある種感動すら覚えるデザインですよね。

 彼も読者投稿超人だと思うんですが、よく見ると発表時にお住まいと氏名が表記されていないんですよ。匿名投稿だったのか、おっちょこちょいで書き忘れたのか、はたまた中井画伯のオリジナル超人なのか。

 ちょっとよくわからないんですけど、このセンスを持ってして無記名って、ある種伊達直人然としていてカッコいいですよ。「おたくのマンガにこのセンスあふれる超人をプレゼントします」と、デザイン画を玄関先にそっと置いておく、みたいな(笑)。おそらく考案者の方は、現在でもその類稀なるセンスを如何なく発揮されていることでしょう(笑)。

 さて、彼がなにゆえ柔道を身につけようとしたのかは不明ですが、おそらく若いころに近くの町の道場の門を叩いたに違いありません。入門を受付した門下生もどんなに驚いたことでしょう。

門下生
門下生

師範、新しい入門希望者が来ています

 師範
師範

ほう、それは結構

門下生
門下生

ただ…その…山なんです

 師範
師範

山!?

みたいな(笑)。それで魔雲天はその手には小さすぎるペンを手にとって、入門者名簿にせっせと名前を書いたことでしょう。

 また、一応黒帯を持っているようなので、講道館の段位認定試験も受けたに違いありません。「魔雲天くん、初段合格おめでとう!」なんて賞状をもらったりして(笑)。「魔雲天くんのために、新しく1トン級を創設しなければいけないな」なんて議題が柔道連盟の会議であがったかもしれません。

 それなのに彼、実戦では気持ちいいくらい柔道技を使わないんですよね。お前のブラックベルトはただの飾りか! コスプレか! と突っ込んでしまった方も多いのではないでしょうか。

 ただ彼の戦いぶりを見ていると、彼の個性は柔道というバックボーンというよりは、彼の1トンといわれる巨躯そのものなのではないかと私は感じています。というのも、個人的に『7人の悪魔超人編』中、ウォーズマンVSバッファローマン戦に次ぐベストバウトはテリーマンVS魔雲天戦だと思っているんですが、この試合を名勝負たらしめているの要因の一つがその巨躯にあると思うんです。

 試合内容としては殴る蹴る、押し込むといった、単純で原始的な展開でした。ただテリーの発するセリフがいちいちイカしているので名勝負に昇格しているように感じるのですが、それを引きだした彼の存在感というのもあなどれないな、と。

 彼の巨躯というのはそれだけで圧迫感があり、比較的小柄なテリーに対する圧力というのは、知らず知らずのうちに読者にも重くのしかかっていたわけです。それを

魔雲天
魔雲天

あんなブタマンやメガネのチビに、命をかける意味があるのかね?

という彼の一言でテリーがキレる。それまで押しつぶされそうだった重圧を跳ね返して前へ出ていく。

 この展開は子供心にもスカッとしましたよ。ある種の解放感といいますか、爽快感にシビれるセリフが絡み合い、相乗効果で気持ちが高揚していきましたから。これってテリーのキャラが私の中でブレイクした瞬間でもあるんですが、魔雲天の圧迫感もそれを強烈に後押ししているんですよね。つまり彼の巨躯があってこその結果だともいえるんです。

 今でこそテリーの異名に“ジャイアントキラー”なるものがありますが、このジャイアントの大部分はザ・魔雲天が占めているのではないかと思います。でも彼って超人強度が50万パワーしかないんですよね。おそらく500万パワーの誤植だと思うんですけど。スニゲーターにゼロ一つ持って行かれちゃったんじゃないかな(笑)?

 もうひとつ、彼の個性としてはその入場シーンにあると思います。これはリアルタイムで読んでいた子どもの頃から秀逸だったと思っていまして、数ある超人の入場シーンの中でも屈指なのではないでしょうか。秩父にそびえ立つ山々に、擬態をする生物の如く紛れ込んでからの派手なカミングアウト。もう入場自体が「私はどこでしょう」のクイズですよ(笑)。

 こんな素敵な演出を成功させるためには、仕込みが重要になります。登場時のインパクトを強くするためには誰からも気づかれることなく会場に潜むことが必要となるので、おそらく彼は試合日の何日か前から会場である秩父連山に乗り込み、息を潜めてじっとしていたに違いありません。

 途中トイレに行きたくなったり、くしゃみをしそうになることあったでしょう。しかしそれを彼は強靭な精神力で耐え忍び、リング設営業者にも、会場の観客にも、もちろん対戦相手のテリーマンにもばれることなくその目的を達成したのです。これはもう、それだけで大偉業ですよ。その証拠に

テリーマン
テリーマン

チッ…そこにいたのか…

とテリーが言ったときの表情の“してやられ感”が尋常じゃないですもん(笑)。

 おそらくね、彼がテリーに負けたのは、この仕込みに体力と精神を費やしたのと、目的が達成されたことの燃え尽き感が原因なのではないかと思います。擬態が成功して安心しちゃったんですよ、きっと(笑)。

 そんな彼も、21世紀になってまさかの復活を果たしました。盛り上がった大胸筋と男気あふれる精神を加味し、今回もお約束の擬態入場で私たちの胸を存分に熱くさせてくれました。そしてブタマンやメガネのチビに命を賭したかつてのライバルのように、己が信ずるあの御方のためにボスクラスの敵であるストロング・ザ・武道に柔道殺法を解禁した特攻ファイトで向かっていき、見事な死に様を披露してくれています。

 でも人生で2回も谷底に転落する人なんて、なかなかいないよなあ(笑)。

※今回は邪・忍者さん、ぽんさん、なつさん、梵天丸さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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