第45回 スニゲーター

オレ流超人批評
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地獄の悪魔騎士第一の刺客! 上位悪魔を自負するも、そのハードルは意外と高かった?
出身コンゴ共和国
超人強度4000万パワー?
400万パワー?
必殺技噛みつき
地獄の宇宙遊泳
主な戦績キン肉マン●

 スニゲーターは『黄金のマスク編』に登場した悪魔六騎士の、第一の刺客としてキン肉マンと対戦しました。直近では前シリーズのボスであるバッファローマンが強烈な個性と強さを放っていたために、それと直接比較されるという点では、読者の期待感のハードルがはじめから高い超人でしたね。そのあたり、ちょっとプレッシャーが大きかったキャラだといえるでしょう。

 それだけにマスクとフードを取り去って正体を現した印象は、やはり小粒感が漂っていたのは否めません。もちろんワニをモチーフにした凶悪そうなフォルムは恐ろしさを醸し出してはいるんですが、バッファローマンと比べるとこけ脅しな感じに見えます。

 いや、これは彼が悪いわけではないんですけどね(苦笑)。それだけバッファローマンの後というのは貧乏クジだったということです。ただそれでも彼はバッファローマンよりも上位に位置する悪魔騎士。その強さを読者に印象づけるという役割を彼は担っていました。

 そんな彼が用意した舞台は「ワニ地獄」。これはアリーナ席のイスが、天井から照射されるビデオプロジェクターにより、ワニやトカゲに変化してキン肉マンに襲い掛かるというものでした。このギミックがはたして彼のスゴ味を増したかというと、ちょっと厳しい気がします。

 というのも、このワニやトカゲは彼の肉体や能力から繰り出された攻撃ではなく、あくまで別個のものです。いわばオプションやアイテムに近いものなので、上位の悪魔超人にしちゃあちょっとコスいなあという印象を与えたように感じます。

 さらにそのカラクリが映像というまやかしとわかると、そのチープさに拍車がかかってしまいました。しかもよく見るとワニは場外に待機しているだけで、キン肉マンにまとわりついているのは小さなトカゲだけだし。トカゲって…そんなに危険じゃないよなあなんて(笑)。それだけに「ワニ地獄」なんて仰々しい名前とのギャップが大きいんですよね。

 それでもこの「ワニ地獄」を用意したスニゲーターの苦労は大変だったと思いますよ。なんせアリーナ席をすべて買い取りですからね(笑)。おそらく彼は、イベント会社の担当と何度も折衝を重ねたことでしょう。

担当
担当

アリーナ全席買取ですと、総額で○○万円となります

スニゲーター
スニゲーター

高くないか? まとめ買いするんだから、もっと単価を下げてくれ

担当
担当

そういわれましても、ウチとしては精一杯のご提示額で…

スニゲーター
スニゲーター

てめえ、足元みやがって! 噛みつくぞ!

担当
担当

別に無理に購入されなくてもいいですよ。これ以上の単価で購入していただけるファンはいくらでもいるんですから…

スニゲーター
スニゲーター

まてまてまて! 悪かった! もう一度話し合おう。これが決まらないと、“ワニ地獄”はプロデュースできないんだよ。ワニのいないワニ地獄なんてシャレにならないだろ

みたいな(笑)。もしくはチケット会社に電話をしまくって、アリーナ席を買い占めていったのかもしれません。どちらにせよ、涙ぐましい努力をしたことはたしかでしょう。消費税が導入される前とはいえ、彼にとっては大きな出費だったと思いますよ(笑)。

 続いて彼の格闘能力について分析してみましょう。彼の個性を一言で表すならば、「脱皮超人」です。『キン肉マン』という作品では、オーバーボディを脱ぎ捨て、外観・能力・個性ともにリニューアルした超人が登場することが多いですが、彼ほどその変化を多用した超人もいないでしょう。

 彼は爬虫類の脱皮という特性をうまく個性に盛り込み、複数のキャラ変化(というか別人)をもたらしてそのファイトスタイルをバラエティ豊かなものにしました。特にワニ→カメ→ヘビ→エリマキトカゲ→カメレオン→ティラノサウルスの足という多数のキャラを、1話分のページ数でこなしたテンポのよさには改めて感嘆しました。しかもそれぞれ「変化→攻撃→スグルの攻略→変化」という流れをきちんと組み込んでいることも特筆に価します。

 そのリレーのような攻防は、数ある試合の中でもスピード感ではピカ一ではないかと思いますね。あまりにスピードが早すぎて、ヘビやカメレオンなどいまいち能力のわからないキャラもいましたけど(笑)。おそらく現在のゆで先生だったら、一変化につき最低1話は費やしますよ。それこそ各爬虫類のウンチクを事細かにミートやカオスに説明させて(笑)。

 また、ワニ以降の超人はおそらく中井画伯のオリジナルデザインだと思われるので、読者採用が多いキャラクター群の中では珍しく作者本来のデザインセンスが堪能できるという、レアケースを演出してくれました。変化するキャラごとに徹底してスニーカーを履かせているあたり、中井画伯の意地が見えて面白いです(笑)。

 そんな目まぐるしい攻防を繰り広げたスニゲーターですが、先に述べた“バッファローマンよりも上位であることを印象づける”という任務については、残念ながら成功したとはいえないでしょう。「本当に勝てるのか?こいつに?」と読者に思わせることに成功したバッファローマンに対して、スニゲーターには「何とかなりそうだな」というイメージを挟み込ませる余地がありました。

 これは様々な脱皮を行っても、その度にスグルに攻略されたことが大きな原因でしょう。先ほどはこれがスピーディな攻防だったと評価をしましたが、皮肉なことにそのことが何をしても問答無用のド迫力パワーで跳ね返すバッファローマンと比べ、力の絶対値に疑問符を抱かせる結果となってしまいました。

 また、カメレオンの変化を破られたときに「まて!」と試合中に待ったをかけたことも、彼の強さに対するイメージを相当悪くしたと思われます。悪魔超人の上位集団が「まて」はないだろうって(苦笑)。「悪魔騎士って本当に強いのかな?」と、全国のチビッ子たちに疑念を生じさせた瞬間ですよ(笑)。

 もちろん彼は新シリーズの尖兵ですから、そこまで強くなくてもいいのではないかという考え方もあるでしょう。しかし彼らは自らを悪魔超人の上位集団と宣言し、バッファローマン以下7人を“下っぱ”“兵隊”と言い放ったわけです。

 そういった縛り(設定)を己に課した以上、相応の責任を果たなければならないのが彼の辛いところでした。そう考えると、彼の強さ表現はバッファローマン、もしくはアシュラマン級でなければいけなかったような気が個人的にはします。

 それだけに彼が最後に全うした「火事場のクソ力を吸い尽くしてスグルを道連れにする」という大仕事が、何か突然のようなものに見えてしまうんですよね。

 せっかくバッファローマンすらできなかったことをいとも簡単に成し遂げたというのに、それまでの展開で力強さを表現できなかったがために繋がらないんですよ。最後だけ無理やり上位証明をした感じで、強さや怖さを表現するどころか逆に「辻褄あわせだなあ」という印象すら浮かんでくる有様で。偉業に対するプロセスが貧弱であったとでもいいましょうか、それらが噛み合っていないんです。

 この辺り、難しい仕事を強いられた彼にちょっと同情してしまいますね。バッファローマンの直後にさえ出なければ、もっと評価も違ったんでしょうけど。

 もうひとつ、彼はマニアを混乱に陥れる謎を持っています。そう、長年にわたり日本中に物議をかもした超人強度問題です (笑) 。公式設定で発表された彼の超人強度はなんと驚愕の4000万パワー。他の悪魔騎士と比較しても飛びぬけています。

 それどころかボスである悪魔将軍をも軽く上回るそのパワーの説明に頭を悩ませるマニアが続出(笑)。「単なる誤植だろう」「いや、“火事場のクソ力”を吸い尽くしたのだからそれくらいないと」と様々な憶測が飛び交う結果になりました。これに対する私の見解は2つあります。

【見解その1:パワー測定器の故障】

 おそらく彼の本来のパワーは400万パワーだったんですよ。ところが悪魔超人軍団の健康診断のときに計ったパワー測定器が運悪く故障しており、桁をひとつ間違えて表示をしてしまったんですね。だから彼はこれまで「自分は4000万パワーだ」と勘違いをしていたんです。将軍サマをも超える自身のパワーに「おかしいな」とは思いつつも、「ま、いいか」なんて(笑)。

 ところがキン肉マン戦で気づいちゃったんですね。「オレってば絶対4000万パワーもない」って。それに気づいた瞬間が、例の「まて!」のタイミングだったのではないでしょうか。「ま、まて!! どうやらオレの勘違いだったようだ」みたいな(笑)。でもって試合後には、パワー測定器のメーカーに訴訟を起こしたはずですよ、きっと(笑)。

【見解その2:器は4000万パワーまであった】

 これはですね、彼のパワーを蓄積するキャパシティが4000万パワーまであったという推測です。自身のパワー絶対値は400万パワーなんですけど、彼はそれを入れる器だけがやたらデカかったんですね。だから自身のパワーを除けば、あと3600万パワーを蓄積できたわけです。ただそれは蓄積できるだけで、使用できるパワー上限値はあくまで400万パワーだったと。

 その点、バッファローマンはこの器の容量が使用できるパワーの上限値と同じ1000万パワーだったために、飽和状態を引き起こしたという考え方です。この考え方だと、当時の火事場のクソ力は3600万パワー以下ということになります。タッグトーナメント決勝の時点で7000万パワーでしたから、火事場のクソ力が成長するパワーだと考えると、当時の数値がこれくらいでもおかしくはないでしょう。

 どうですか。なんで編集サイドの誤植にここまでフォローをいれなきゃならんのかなって感じですよね(笑)。ただ逆にいうと、この誤植があったからこそさまざまな想像力をかきたてられ、戦闘能力においてはいまいちアピールができなかったスニゲーターの存在を20年間も風化させない要因になったわけですから、誤植をした写植会社の担当はある種功労者ですよね。まあ自分のせいで、マニアが喧々諤々けんけんがくがくの議論をしているなど、夢にも思っていないでしょうけどね(笑)。

※今回はアツシーニョさん、ブッシさん、田村さん、加藤さん、ジンロさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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