第33回 ジェイド

オレ流超人批評
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師匠(レイラア)をこよなく尊敬する模範生。期待されつつも戦績は…どうしてこんなに弱いのよ?
出身ドイツ
超人強度116万パワー
必殺技ベルリンの赤い雨
ビーフケーク・ハマー
ブロッケンの帰還
主な戦績老バッファローマン○
ガゼルマン○
スカーフェイス●
ヒカルド●
ヘル・イクスパンションズ●
(スーパートリニティーズ)

 キン肉マンシリーズにおいて、一番マジメで純粋な超人は誰かといえば、まっさきにこのジェイドの名をあげる方も多いでしょう。彼の正義超人としてのひたむきさは、ある種バカ正直といっても過言ではなく、「正直者が損をする」という路線を着実に歩んでいる超人だといえます。

 それゆえ戦績もかんばしくはなく、人気投票では必ずトップ10にランキング入りするほどの主要キャラでありながらも、なぜだか噛ませ犬超人というイメージをぬぐいきれません。目立つのは活躍シーンよりも、やられっぷりの良さばかり。「もっと強いジェイドが見たい!」と願うファンにとっては歯がゆいばかりの思いをしていることでしょう。というか、オレ自身がそうなのでよくわかります(笑)。

「今週のⅡ世」を読んでいただいている方はわかっているかもしれませんが、オレはⅡ世キャラの中では彼が一番好きなんですよ。それだけにあの弱さは…見るに耐えない(苦笑)。今回はそんな彼の弱さの原因に肉薄し、それでも彼を大きな愛で包んであげようかと思います(笑)。

どうして彼は弱いのか―その① 応用力に乏しい、レイラア一筋のマニュアル超人

 彼は正義超人としての心構え・格闘技術など、あらゆることをレイラア(師匠)であるブロッケンJr.から学んでいます。もちろん正義超人養成所であるヘラクレスファクトリーで学んだこともあるでしょうが、彼を形成している9割はレイラアからの教えといってもいいでしょう。

 それゆえ彼はブロッケンJr.のコピー超人というイメージが強く、悪く言えばブロッケンJr.(の格闘スタイル)なしでは何もできないという致命的な弱点を持つ結果となってしまいました。つまり彼はブロッケンJr.のマニュアルがなければ上手く闘うことができない、マニュアル超人なんですね。おそらくそのマニュアルをこなすという点においては、彼は抜群の才能を発揮するのでしょう。比類なき運動神経・格闘センスと、目を見張るものがあるのだと思います。

 しかし、いったんそのマニュアルから逸脱した事態が生じると、とたんに彼は困ってしまうんですね。しかも何故だか彼の対戦相手は、いつもそのマニュアルから逸脱した攻撃をしてくる猛者ばかり(笑)。その度に彼は動揺し、冷静な判断をできずにバタバタと慌ててしまうわけです。しかもリング外からそれをフォローすべきブロッケンJr.からはあまり適切な助言がない(笑)。

 このように、彼は試合中に発生するイレギュラーな事態に対応する能力が圧倒的に弱いんです。マニュアルにある格闘セオリーを、瞬時にアレンジして適応させる能力があまりにも乏しい。この応用力のなさが、優秀な格闘技術を持っているわりには、結果を残せていない彼の弱さにつながっていると思うわけです。ま、いかんせんそのマニュアルの作者が、現役時代の実力にやや疑問符がつくブロッケンJr.であるために、マニュアルの質自体に問題があるという疑念もありますが…。

どうして彼は弱いのか―その② 純粋で騙されやすい世間知らず超人

 彼は正義超人の中でもバカがつくほどの正直超人です。しかも純粋であるために、いいように騙されるんですね。とくにスカーフェイスには騙されまくりです。対戦時においてはでたらめなウソ話(彼の育ての親を殺したのはブロッケンJr.だったの巻)に翻弄され、タッグを組んだときも己の野望(コンプリートバルブで完全無比超人になりたいの巻)のために利用されました。

しかも戦闘能力が役に立たない(ベル赤ができなくなっちゃったの巻)と判断されるや、一方的にリストラされるという苦渋をなめています。 

 このことは彼が疑うことを知らないという、普通ならば長所たるべき性格が、悪行超人と闘う点においてはまったくの弱点となっていることをあらわしています。彼にはたとえ悪行超人との闘いを優位にすすめていたとしても、情けをかけて形成を逆転されるというパターンに陥りかねない危うさが常に見え隠れしているんですね(笑)。そのあたりが彼の甘さであり、経験のなさ、つまりは世間知らずという青臭さが、戦闘時における決定力不足につながっているのだと思います。

どうして彼は弱いのか―その③ 正義超人道を追求する理想主義超人

 彼は自分でも公言している通り、立派な正義超人になることが目標なんですね。そのため、彼にはかっこたる“正義超人道”という理想があるらしく、それがいちいちクソ真面目なんです。例えるならば、聖職者たる教師は酒・タバコ・ギャンブルなど厳禁であり、生徒の模範たる節度ある私生活を送らねばならない、といったようなイメージでしょうか。

 そんな道徳的・禁欲的な生活を、自身の規律としてあてはめ、それを当然のごとく守っていくのが立派な正義超人としてのあるべき姿だと、かたくなに信じているわけです。その顕著な例が、スカー戦後の彼の行動です。右腕をもがれ、左足を折られるほどボロボロにされた相手に対し、「試合後はノーサイドだ」「同じニ期生として万太郎を倒してくれ」とエールを送る始末。どんだけクソ真面目なんだと、その行き過ぎた模範生ぶりにはビックリさせられました。

 まあたしかにその精神はまことに見上げたものなのですが、“こうあらねばならない”という凝り固まった思想的制約が彼を覆う強固な枠組みとなり、逆にそれを逸脱することで得られる経験や、新しい考え方を排除する結果になっていると思うんですね。つまり彼は正義超人たるべき理想を追いすぎるがゆえに、様々な面で引き出しが少ないんです。

 実はこの視野の狭い理想主義こそが彼の成長を妨げ、今ひとつブレイクできない一番の原因ではないかと思うのです。この辺り、マンタやケビンはよくわかっていて、悪さをしながらも、それがきちんと経験値になっているんですね。ジェイドも少しは悪いことを覚え、硬軟織り交ぜた柔軟な思考を持たないと、おそらくいつまでたっても甘ちゃんの「善戦超人」からは脱却できないと思います。

どうして彼は弱いのか―その④ 作者に選ばれた生贄超人

 格闘マンガにおいて、まずは悪が正義を打ちのめし、その敵討ちに主人公が立ち上がるというストーリーは王道です。その手始めに打ちのめされる正義こそ、ジェイドの役割なんですね。というのも、今までにあげられたように、彼は正義超人の中でもクソ真面目な、正義超人の中の正義超人なわけです。つまり彼は「正義超人」というカテゴリーの象徴超人であり、噛ませ犬超人として白羽の矢がたちやすい超人…というか、ゆで先生が使いやすいキャラなのでしょう。

 実際、スカーフェイスといい、ヒカルドといい、イクスパンションズといい、すべてその後に主人公(マンタ)が闘うべき展開に発展しています(イクスパンションズについては現時点では予想ですが)。作者に選ばれた生贄。この時点で完全に噛ませ犬超人として王手です(笑)。

 以上、ジェイドファンにとっては苦しい分析が続きましたが、それでも彼は魅力的ですよ。ブロッケンJr.のコピー超人? いいじゃないですか。それだけ師弟の絆が強いんですよ。彼はブロッケンJr.の格闘技術をもって世間に認められることで、現役時代不遇だった師匠の汚名を晴らしたいんです。なんとも美しい志じゃないですか。

 純粋で騙されやすい? バカ正直? いいじゃないですか。その青臭さが若者らしくて。変に世の中わかったような小生意気な若僧より、よっぽど好感が持てますよ。人を信じるというのはできそうでできませんからね。

 理想主義超人? いいじゃないですか。どこまでも清く正しく美しい正義超人道をまっとうしてくださいよ。融通が利かなくてもいいじゃないですか。純粋で真っ白なその理想を汚すことなく、そのまま大きくなってくださいな。

 作者に選ばれた生贄超人? いいじゃ…いや、これは勘弁してほしいなあ(笑)。清廉な、そして青臭いキャラを保ったままの、強いジェイドをいつか描いてくださいよ、ゆで先生。お願いですから。

※今回は牛丼一筋30歳さん、ドロシーさん、梵天丸さん、norioさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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