第30回 プラネットマン

オレ流超人批評
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太陽系の惑星を支配下におく悪魔騎士。日陰の母星・バルカンは地球と対等になれるのか?
出身惑星バルカン
超人強度500万パワー
必殺技プラネットリング
氷点下の首四の字
魔技惑星直列
魔技グランドクロス
魔技人面プラネット
主な戦績キン肉マン●

 彼は『黄金のマスク編』に登場する、悪魔六騎士の一人です。彼の出身星・惑星バルカンは地球の裏側にあったため、つねに陰となってその存在がかき消されていました。

 そんな陰の星バルカンを世に知らしめるため、彼は太陽系を制覇するという野望を掲げます。水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星を己の体の一部として支配下に治め、最後に残った地球=キン肉マンに闘いを挑んだわけです。

 それはある種冷遇された者のひがみ根性というか、復讐じみた行動であり、キン肉マンにとっちゃいい迷惑ですよね。しかも出身はキン肉星なのに(笑)。

 その容姿デザインはなかなか安定しませんでした。初登場時は集まった星々を細い腕・脚でつないだ、まるで分子モデルのようなデザインでした。次の回ではもう少し肉感的な手足に修正されましたが、ちょっと寸詰まりなイメージがあり、その次の回でやや身長が伸びてバランスがよくなるという紆余曲折ぶりでした。

 本連載でキャラデザインを試行錯誤するというのは作者ゆでたまごのお家芸なのですが、このプラネットマンはそれがかなり顕著でしたね。しかもコミックスでも修正をしないというそのクソ度胸に、ゆでたまごの男らしささえ感じてしまいます(笑)。

参考:分子モデル

 さらにいうと、プラネットマンはその顔面もなかなか一定していなく、オーバーマスクのオンパレードです。わかりやすく順に並べてみると、

地球マスク⇒黒バルカン⇒真バルカン⇒黄金のマスク

という4重構造です。これはあんたちょっとかぶり過ぎでしょ、とつっこみのひとつでもいれたくなるってもんで(笑)。

 そんな外見上の不安定さを感じさせたプラネットマンですが、その戦闘能力はなかなか個性的です。

 土星の輪をブーメランのように投げて相手を切り裂く“プラネットリング”、木星の強力な重力で相手を引き寄せる“プラネット重力”、海王星と冥王星の2つの氷の惑星で首を絞めて凍らせる“氷点下の首四の字”、プラネットリングを噛み砕いて無数の破片にして飛ばす“リングストーン”と、それぞれの攻撃に対する解説がいちいち理科の学習につながっているという、なんとも小学生にはためになる技のオンパレード。これならPTAのお母さんも安心して読ませることができそうです(笑)。

 とくに相手を瞬時に凍らせる“氷点下の首四の字”は個人的に好きですね。星の個性をうまく活かしたおもしろい技だと思います。瞬間に凍らせた物体は、少しの衝撃で粉々になるという攻撃に説得力と必殺性を感じさせるのと同時に、モービル1のCMをヒントにしたのかなあと、ネタの出所がわかってしまうあたりが素敵です。「ほら、凍ったバラもこの通り」みたいな。知らないか(笑)。

Mobil 1™ CM バナナで釘が打てる温度でも、Mobil1は固まりません!

 そのほか“惑星直列”、“グランドクロス(惑星十字配列)”といった、やや胡散臭い占星術的要素からヒントを得たと思われる攻撃や、相手を球体にしてしまう“超人ボール”、太陽を投げつける“アポロンダイナマイト”等、なかなか多彩な技を持っています。

 また、けっこう忘れられがちですが、彼は空間を宇宙空間にチェンジすることにより、完璧にキン肉バスターを破っています。よく考えるとこの防御法はキン肉バスターだけでなく、落下系の技全般を無効にする可能性を秘めており、実は彼は隠れた防御名人なのではないかという評価もオレの中ではあります。

 このように星々の個性を存分に活かした攻撃を繰り広げた彼ですが、『黄金のマスク編』という物語全体を俯瞰ふかんしてみると、大きな失態を犯してしまった超人といわざるを得ません。

 というのも、悪魔六騎士(もしくはサタン)の当初の戦略としては、キン肉マン以外の超人のパワーを奪って動けなくし、キン肉マンのみを集中砲火して攻撃するというものでした。

 ところがプラネットマンの魔技“人面疽じんめんそ”によって人質にとらわれた正義超人軍団が、逆にプラネットマンのパワーを吸い取って復活してしまうんですね。ロビンマスク、テリーマン、ブロッケンJr.といった主力級の超人を甦らせてしまったのは、戦略上では間違いなく大失態です。

 これによって悪魔騎士側の当初の目論見はくずれ、ウォーズマンの体内での団体対抗戦へと発展し、結果正義超人軍団に敗北を喫してしまうのです。この結末からみる限り、彼はA級戦犯といっても過言ではないような気がします。

 結局彼はキン肉マンに敗れ、己の母星であるバルカンを世間に認めさせることができなかったわけですが、なんと21世紀になってそのチャンスがあらわれるんですね。

 2006年8月、チェコのプラハで開かれた国際天文学連合(IAU)の総会で、新たに3つの星を惑星に認定する原案が提出されたのです。彼は「これでとうとうバルカンが正式に太陽系の惑星として認められる」と、固唾を飲んで総会の行く末を見守っていたと思うのですが、なんとその結末は、バルカンが惑星として認められるどころか、冥王星をも惑星の称号をはく奪されるという、なんとも厳しいものでした。

 今回もバルカンは認知されず、しかも左足の冥王星までも取り上げられ、彼のアイデンティティはズタボロにされてしまいました。ちょっと気の毒な感じもしますよねえ。冥王星を失った今、もう彼の“氷点下の首四の字”は見ることができないのかなあ(笑)。

(注)ちなみにIAUで提出された惑星候補にバルカンは入っていません。ホントはカロンとセレスとエリスですので、信じないように(笑)。

※今回はコンバット・ホークウィンドさんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

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