重ねる年齢と精神とのギャップについて

 この間ショッピングセンターのレストランで昼食をとっていたんですよ。連休の中日ということで、ファミリーの買い物客が多くてけっこうな賑わいだったんですね。そこへ新たな客が入ってきたのですが、それが小学校時代の同級生“じゅうべえ”(当時のあだ名)だったんですよ。

 むこうはオレに気がついていないし、オレも彼とはいうほど親しくなかったので、声はかけませんでした。じゅうべえは奥さんと子供2人を連れ、いかにも休日にファミリーで買い物に来たといういでたちでした。彼が結婚をしていたのは知らなかったので、「へ〜じゅうべえも2児のパパかあ」なーんて、コーラをすすりながら感慨にふけっていたわけです。

 しかしなんだろう、昔の同級生がしっかりと家庭におさまっているという光景に、こころの奥底で何かしっくりこない思いをもつ自分に気づいたんですよ。いや、30を超えると同級生が家庭をもっているなんてだんだん当たり前になってくるんですが、わかっているのにこの違和感はなんだろうと考えてみました。そしてでた結論が、表題の「重ねる年齢と精神とのギャップ」なんですね。これは実年齢と精神年齢の足並みがそろっていないということなんですよ。もしくは年をとることを頭が拒否しているというか、いつまでも若くありたいという願望でもあります。

 例えば子どものころ。テレビに出てくる人というのは、おおかた自分より年上が多かったわけです。芸能人、スポーツ選手、その他いろいろ。自分より年上が当たり前の世界であり、それに対してなんら疑問を持つことはありませんでした。しかし成人になると、自分より年下がブラウン管に映し出される割合が多くなることにはたと気づきます。「あれ? 高校野球にでている選手って、全員オレより年下じゃん」みたいな。ここで一度目の違和感を覚えるんですね。自分が年をとったことを自覚し始めるのです。

 他に例をあげると水着のグラビア。ここに登場するアイドルのプロフィールを見ると、自分の生年よりも後に生まれたアイドルの割合が増えてきて、違和感というかショックを受けるわけです。なぜショックを受けるのか。それは自分が年をとったことに気づいてしまったからにほかなりません。言い換えると自分自身はそんなに年をとった自覚がないのに、物理的には確実に年をとっていると再確認させられたということです。ここに物理的な年齢の増加と、精神年齢のギャップが生じてしまうのです。実年齢が25歳なのに、自身は20歳くらいの精神状態で止まっている、といった感じです。

 もちろんこれは個人差があるので、みんながみんなにあてはまるわけではないでしょう。実年齢と同じくらい精神的に発達している人もいるし、それ以上に老成している人もいる。ただ現代人は明らかにうちらの親父世代よりは、精神的に幼い人の方が多いのではないのでしょうか。それだけにオレと同じ気持ちを共感していただける人も多いかと思います。

 ただ上記の例は、まだまだかわいいもんです。「第一次年齢ギャップ」とでもいいましょうか、そんなに深いダメージはないのです。なぜならば「第一次年齢ギャップ」は20〜25歳くらいで起こる症状であり、20〜25歳という年代そのものは、まだまだ若いからです。

 しかしこれが30を超えると話が違ってきます。まず結婚という、大きな人生の転機があります。そして子供ができて家族として独立をする。社会の一員として責任も大きくなる。子どものころ見ていた親の立場、世の中に今、自分がタイムリーに存在している、その不思議さ・違和感。子どものころ、自分がそんな立場に立つなんて、ずっとずっと先のこと、未来のことだと思っていたのに、無情にも時は過ぎ、あっという間にその地点に立ってしまった。もしくは同級生がその位置にいる。これは想像を絶する現実ですよ。この「第二次年齢ギャップ」に、相当オレは戸惑っているわけです。

 これは簡単に言えば、「大人になりたくない」という“甘えたピーターパンシンドローム”なのかもしれません。大人に精神的に近づきたくないということで、どんどん大きくなる社会的責任から逃れようとしているのでしょうか。しかし実年齢にみあった精神をもって大人になることは、生きていくうえで大事なことです。それはわかっているだけに、年をとった現実を肯定できない自分に対してジレンマを持ってしまうんですね。

 ただ「実年齢を肯定する」という作業も、あんまり素直にやるのもいけないと思うんですよ。なぜならば、自分の年齢を認め、消化した時点で、人間は一気に老けるんですね。それだけに実年齢を認めない意識というのも、ある種若さを保つ防衛手段として有効だと思うんです。精神的に大人になるか、若さを保つか。このバランスが非常に難しい。うまくこなしていきたいんですけどね。

(2005年9月19日)

 

 

 

 

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