オレ流超人批評
第7回 ラーメンマン
残虐超人での衝撃デビュー
ウォーズマン戦での大怪我を乗り越え
そして彼は聖人君子に昇華する
What's ラーメンマン
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ラーメンマンは第一回超人オリンピックで初登場するのですが、はじめのデザインはかなり厳しかったですね。なんか頬骨が出っ張ってて、歯ぐき出てるし。 しかしそのデビュー戦は衝撃的でした。キャメルクラッチでブロッケンマンを真っ二つです。その残酷な描写に、子供心にビビった記憶がありますね。実はオレはキン肉マンがアニメ化されたときに、この試合をテレビで放送していいものかと真剣に心配していました。PTAから苦情がくるんじゃないのかとか、番組休止に追い込まれるんじゃないのかとか、幼い心を傷めたものです。小学生にここまで心配されるなんて、作者のゆでたまごもマンガ家冥利につきますな(自画自賛)。 まあ心配のシーンは、ブロッケンマンがラーメンにされてしまうという「それはそれでメチャクチャやな」というシーンに変わっていたので、オレの心配は杞憂に終わったのですが。 単なるキワモノキャラとして終わるのかと思われたラーメンマンですが、テリーマンとの3位決定戦あたりから、その役割が重要度を増していきます。つまり主要キャラへの階段を一歩あがったわけです。普段不真面目なキン肉マンに対し、血の涙を流して自分とキン肉マンとの戦い(準決勝)を誇りたがったラーメンマンですが、キン肉マンがそれに応えます。このシーンはキン肉マンが超人として一つ成長した大変重要なシーンだといえます。ギャグマンガからストーリーマンガへの転換点をこのシーンと捉えるのは、私の独りよがりな考えでしょうか? その後ラーメンマンのキャラのベクトルは、急速に正義超人の方向へ向いていきます。昔の強敵が新しい強敵に打ちのめされる、という少年マンガの法則にもとづき、第二回超人オリンピックではウォーズマンに完膚なきまでにやられてしまいますが、そのやられっぷりが実はキン肉マンにウォーズマンを研究させるためというのが泣かせるじゃありませんか。 そしてウォーズマンのベアークローで脳みそをえぐられるシーンは、またしても子供心にビビリましたね。加害者・被害者の両方で衝撃シーンを提供しているのはラーメンマンだけではないでしょうか。植物人間という設定にもかなり衝撃をうけたものです。 それからの彼は長い間、モンゴルマンとしての活躍が続くわけですが、そのマスクを被っている間に性格設定の大幅な変更がなされたようです。 以前の彼は、どちらかというとオッサンくさいというか、その言動や行動がいぶし銀の性格を帯びていましたが、王位争奪編でラーメンマンとしてカムバックすると、いままでのオヤジ臭はどこかにいってしまいました。確実に若返っているのです。セリフも妙に優等生的なものが多くなり、変な清潔感を得てしまったかわりに、今まで持っていたアダルトな毒々しさがなくなってしまいました。 理由は『闘将!ラーメンマン』という、ピンで活躍したマンガが原因だということはハッキリしています。このマンガは『キン肉マン』とは別のパラレルワールド的なマンガで、その主人公のラーメンマンが、なんとも心優しく清潔な聖人君子として描かれているのです。その辺の性格が本編の『キン肉マン』に持ち込まれたわけです。技も持ち込まれてたけど・・・。 もう一つ別の視点で彼をみると、ブロッケンJrの成長に彼は大きく関わっています。ブロッケンJrの父親であるブロッケンマンを惨殺した彼は、ブロッケンJrに一時期大きな恨みをもたれますが(当たり前です)、第二回超人オリンピックの準々決勝でブロッケンJrに大人の勝ち方で勝利すると、どうやらブロッケンJrに心服されたようです。それ以降、何かとラーメンマンはブロッケンJrを見守る行動をとり始めます。というか、ブロッケンJrの尻拭いというほうか適切かもしれません。 ミイラパッケージでミスターカーメンに殺されそうになるのを救ったり、タッグシリーズで乱入コンビ(スクリューキッド&ケンダマン)にやられたカタキをとったり、王位争奪編ではブロッケンJrが勝てなかったプリズマンを見事撃破したり、などなどです。 戦うごとにブロッケンJrは成長していきましたが、ラーメンマンは常にその前を走っていました。ゆえにブロッケンJrにとって彼は、追っても追ってもなかなか追いつかない存在だったといえます。彼がブロッケンJrを牽引しなければ、現在のブロッケンJrは存在しなく、つまりU世のジェイドも存在しなかったというのは私の考えすぎでしょうか。 (2004年4月19日) |