オレ流超人批評

第52回 ブロッケンマン

残虐殺法の使い手として恐れられたブロッケンJr.の父親

実力者・ラーメンマンをして最大の難敵と言わしめる

その過剰評価の謎に肉薄!!

What's ブロッケンマン

名   前

ブロッケンマン

出   身

旧西ドイツ

超人強度

85万パワー

必 殺 技

ベルリンの赤い雨
殺超人ミスト

主な戦績

ラーメンマン●
 

 

 突然ですが、ここであるシミュレーションをしてみましょう。キンターマン、スフィンクスマン、銅ベルマン、ブロッケンマン、ティーパックマン、ウォッチマン。この超人たちは超人オリンピックの予選や本戦において死亡したとされている超人たちです(知らぬ間に復活したのもいますが)。その中から一人、オリンピック委員会から死亡超人に敬意を表し、功労勲章を贈ることになりました。さて、委員会は誰を功労者として選ぶでしょうか?

 おそらく委員会はブロッケンマンを功労者として選ぶと思います。理由は推薦人が強力だからです。推薦人はブロッケンJr.にラーメンマン。ブロッケンJr.は「現在アイドル超人として正義超人軍団の最前線で戦えるのは、自分を鍛えたくれた親父のおかげ」と推薦状に記載するでしょう。ラーメンマンはブロッケンマンは「我が最大にして最高の難敵」という最大級の賛辞をしたためます。現役のアイドル超人2人からこのような推薦評価を受ければ、委員会はおそらく満場一致でブロッケンマンに功労勲章を贈ることを決定するに違いありません。そんな死してなお高い評価を受けるブロッケンマンですが、はたして彼は本当にその評価に値する超人だったのでしょうか? 少し彼の過去をひも解いてみましょう。

 ブロッケンマンは第1回超人オリンピックで決勝トーナメントに残った超人として初めて登場しました。ナチスドイツの親衛隊を彷彿とさせる(というかそのまま)のスタイルと、正体不明の残虐殺法の使い手という触れ込みは、不気味なオーラを醸し出すことに成功していたと思います。試合ではその触れ込み通りの行動を見せ、ゴング前にフライングでラーメンマンに襲いかかり、上着を頭から被せて視界を奪ってからのストンピング。その後は凶器攻撃で額を殴りつけ、間髪いれず口から毒ガスを吐き出すという無軌道なファイトを見せ、スグルに「こいつはとんだ超人だぜ」との評価を受けています。

 しかし攻勢だったのはそこまでで、ラーメンマンに足を払われるや口に足を突っ込まれ、グリグリされ、拳法の乱打を受け、挙句の果てにキャメルクラッチで胴体を真っ二つにされて殺されてしまうという、強烈すぎる倍返しを受けてしまいます。そのやられっぷりは『キン肉マン』という作品35年の中でも1、2を争うほどの凄まじさで、ちびっ子読者に強烈なトラウマを植えつけた超人でした。私はこのやられっぷりがテレビアニメで再現されたら、PTAから苦情が殺到してしまうのではないかと危惧していたほどであり(笑)、加害者であるラーメンマンの限度を知らない恐ろしさを感じるとともに、被害者であるブロッケンマンに対しては災難だったなあと、ある種同情めいた感覚を持ったりもしていました。ただこの事件をきっかけに、捨てキャラであった(ゆで先生談)はずのラーメンマンの株は大きく上がり、作品において絶対的なポジションを持つキャラクターに成長するきっかけとなったわけです。

 先ほどブロッケンマンに同情するということを書きましたが、冷静に彼のファイトスタイルを分析すると実は自業自得だな、というのが率直な感想であり、とても褒められた超人ではないことがよくわかります。ぶっちゃけスグルの言う「とんだ超人」どころか、外道ですよ、彼(笑)。超人評価基準がA〜Eランクまであったとして、絶対評価で彼がどのランクに位置づけられるかとなると、評価項目によって多少かわるところがあるかもしれませんが、おそらくDもしくはE判定になると思うんですよ。それなのに功労勲章をいただける可能性がある(妄想ですが)。この矛盾は何なのでしょうか。

 それは評価者の査定方法が妥当ではないからです。この場合の査定者とは冒頭のラーメンマンとブロッケンJr.を指すのですが、ブロッケンJr.は肉親への評価ということで評価基準が甘くなりがちです。まあこれはいたしかたないと思うんですね。問題はラーメンマンの査定法ですよ。彼の査定法には思い出補正が顕著に施されており、ブロッケンマンの絶対評価を相当に押し上げていると思われます。思い出補正とは昔経験した出来事が美化される、という行為ですが、このフィルターが入ると絶対評価ではD、Eランクであった出来事が、時間とともに美化されてAランクにランクアップしてしまいます。というのも、自分が初めて体験するものには、今まで体験したことがない故に鮮烈な衝撃を伴うことがしばしば生じるものです。しかし、何度も同じような体験をするとそれに慣れてくるので、以前衝撃を感じた以上のことを体験しても、評価的には初体験時の衝撃の方が評価が高い、という現象が起きてきます。また、若い頃の方が感受性も豊かであり、同じことでも大きな衝動を受けるし、その感動が記憶に残りやすいという傾向があります。

 ラーメンマンの場合、たしかに第1回超人オリンピック時のブロッケンマンは、とんでもない無法ファイトをする超人として衝撃を受けたのかもしれません。ただ、その後の彼の対戦相手を鑑みるに、対ウォーズマン、対ミッショネルズ、対バイクマン、対プリズマンの方がどう考えてもブロッケンマンよりは難敵です。しかし彼がそれでもなおブロッケンマンを「我が最大にして最高の難敵」と評価するのは、若い時代に経験した思い出補正が大きな原因であると考えられるのです。もしラーメンマンが一企業の社長で、人事考課の一環として部下を評価する立場にあるとすれば、これは大きな問題ですよ(笑)。評価基準に私情が入り過ぎです。今年のボーナスはブロッケンマンが一番手取りが多かった、なんて現象が起きてしまい、それこそウォーズマン他の超人たちから不満が噴出して会社傾きますよ(笑)。

 もう一点、ラーメンマンが彼を過剰評価する一因としては、ブロッケンJr.の存在があります。親父をあやめてしまった贖罪として、彼はブロッケンJr.の後見人のようなふるまいをすることが多々あり、その一環として彼を一人前の正義超人にすることを己に課している節があります。その時に必要なセリフが、ブロッケンJr.を鼓舞するための「ブロッケンマン賛辞」なのです。ぶっちゃければ若者をその気にさせるためのリップサービスですよ(苦笑)。自分が認めた存在に、親父のことを良く言われたらそりゃいい気になりますわな。このあたり、ラーメンマンの部下指導力というか、コーチング能力というのは意外としたたかなのかもしれません(笑)。

 このように、ブロッケンマンは評価査定者の思い出補正とリップサービス、そしてその評価査定者が準主役へと出世し発言力が高まったという幸運が重なることで、死して評価がうなぎ上りになった稀有な超人といえるでしょう。おそらく本人も予想外の評価値高騰に、超人墓場で「へ? なんで?」と思っているはずですよ(笑)。でも個人的にはブロッケンマンの評価インフレってそんなに嫌じゃなくて、これを機に人格者たる一面を持つブロッケンマンの読切とかスピンオフができるんじゃないかな、なんて期待しています。もしそういったことが実現したら、彼は名実ともに評価が高い超人たりえるんでしょうね。

※今回はみほしてさん、ルルさん、テリー・ザ・キッド徳郁さん、上野さん、ダンベル軍曹さん、アクメ将軍さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

(2015年12月29日)

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