オレ流超人批評
第26回 オメガマン
作品最後を飾る超人ハンター
オレ様にロックオンされた超人は
問答無用でカタストロフ(終局)!!
What's オメガマン
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オメガマンは『王位争奪編』のフェニックスチーム最後のメンバーとして登場しました。Ωという文字がギリシア語で「最後」という意味を持つので、自身も「フェニックスチーム最後の戦士」と高らかに称しています。たしかに『キン肉マン』という作品においても最後に登場した超人であり、その名前は見事に彼の立場を表していましたね。 満を持してフードを取り去ったそのデザインは、背中になにやら巨大な手こさえたホッケーマスクの超人であり、不気味な迫力があったと思います。なんか背中にスニゲーターを背負っているようなイメージを受けましたね。まあ指のひとつは実際にスニゲーターだったんですけど。 最後の超人ということで作者のゆでたまごもそのキャラ設定に気合をいれたと思われるのですが、いささか空回りしてしまった印象がありますね。まず一つ目に、このオメガマンには“超人ハンター”という大きな個性がついていました。宇宙に散らばる犯罪超人たちをハントし、賞金をせしめるという設定です。おそらくキン肉マンチームに合流するネプチューンマンと戦わせるときの因縁をつくっておきたいというのが大きな理由だったのでしょうが、その依頼を超人閻魔に受けていたことが話をややこしくしています。つまり彼はフェニックスと超人閻魔という2君に仕えていたということになり、彼の行動目的が「フェニックスを戴冠させること」と、「超人閻魔から賞金をもらうこと」の2通りに分散されてしまい、行動理由の焦点がボケてしまった上に中途半端なポジションを形成してしまった感じがするんですね。超人ハンターとしての実績をフェニックスに評価されて、フェニックスの依頼でキン肉マンチームをハントするといった方がわかりやすかったのかもしれません。そもそも超人閻魔というキャラの位置づけも不明だったので、なおさらです。なんか『キン肉マンU世』では悪魔将軍とならんで大物っぽい設定がついてますがね(笑)。 二つ目に彼の所属が「完璧超人」というのも蛇足だったと思います。前シリーズ『夢の超人タッグ編』でのネプチューンマンの活躍により、「完璧超人」という超人カテゴリーがその時点ではランク的に最高だったわけです。つまりオメガマンの強さを補足するために安易に「完璧超人」という超人カテゴリーをつけたと思われるフシがあり、そのため完璧超人を束ねるリーダーであったネプチューンマンに対し、尊敬も畏怖も抱かないでその命を狙うという、わけのわからん設定ができあがってしまいました。その辺も超人ハンターの設定とあわせて、オメガマンのキャラ設定がいまいちチグハグであると感じさせる要因になったと思うわけです。 実力的には最後に登場した超人だけあって、強力なものをもっていましたね。ハワイチャンプ戴冠直後のジェロニモを子供扱いして一蹴し、キン肉マンとネプチューンマンの巌流島コンビ2人を相手にしても、互角に渡り合っていました。必殺技である「Ωカタストロフドロップ」も脱出不可能なイメージを抱かせるのに十分な説得力を持っていたと思います。ただ、いかんせん小悪党の域を脱していないんですよね。残念ながら。 これは彼がフェニックスチームのメンバーであったこと自体不幸だったと思うのですが、小ズルいフェニックスに対しておべっかを使っている点や、賞金目当てのために闘っているという志の低さが原因であると思われます。最後の超人だっただけに、この器の小ささはちょっと残念でしたね。メタモルフォーゼもご都合主義に見えてしまい、「これじゃなんでもありじゃん」としらけさせる展開になってしまったように思います。結局は52の関節技をマスターしたキン肉マンに秒殺されてしまったり、死体になってからもフェニックスに利用されたりと、さんざんな最期でした。 とまあ、彼に対しては厳しい評価をしてしまいましたが、これもラストの超人のあり方としての期待の裏返しだったわけで。初登場時に不気味な迫力があっただけに、ちょっともったいなかったというのが本音です。まあ初期はそれなりにカッコイイと思われたホッケーマスクが、後半は頬骨がでっぱり、目玉がギョロついたあたりでガイコツじみてきたのも個人的にはちょっと受け付けなかった原因ではあるんですがね。 ※今回はヌバタマさん、肉さんからリクエストをいただきました。ありがとうございました。 (2006年4月2日) |