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第三節 厳しい競争 〜その問題点〜

 いざ『ジャンプ』誌上に作品を連載したとなると、次

に待っているのはシビアな競争原理である。本に綴じてある読者アンケートで上から下まで順位をだし、人気のないものはどんどんカットされる。これはベテランも新人も全く関係はない。連載5回目までに読者の支持率が上昇カーブを描いていれば連載は続行になるが、その条件を満たさなければ10話打ち切り終了。いくら10話で切られてもつじつまが合うような話作りをしているとはいえ、そう簡単に描きたいものを10話にまとめられるわけがない。私は今までにずいぶんと尻切れトンボな作品を見てきた。しかしこの人気重視は雑誌の面白さを保つための『ジャンプ』の固い編集方針であった。だが、打ち切りの恐怖に尻を叩かれるマンガ家には、かなり厳しいプレッシャーを与えているといえる。この点について『北斗の拳』の原作者である武論尊はこう語る。

 ジャンプで仕事をするのは、他誌と比べてものすごいエネルギーが要るんです。人気があればあったで、全然気が抜けないしね。編集者たちは個性的だけど、『とにかく当てる。趣味じゃねえんだ』という点だけは徹底的に共通してて、実に激しい。その連中がそれぞれ抱えている漫画家の中から、何がいつ飛び出すかっていう強迫観念が常にあるんだよ。よほどマイペースでやれる資質と条件を備えた人でないと、あのプレッシャーは辛いですね。〔文藝春秋「マルコポーロ」1993年5月号;P62〕

 デビューしたての新人は、とくに泣きをみることが多い。表11はここ5年間の新人デビュー作品と、そのマンガが1年以上連載されたかどうかを調べたものである。『ジャンプ』では毎年5人近くの新人をデビューさせているが、1年間続く割合は10人中2人に満たないという厳しさである。いまや売れっ子となった井上雄彦や冨樫義博も、デビュー作品は振るわなかった。

表11 最近5年間の新人マンガとその継続状況

タイトル(作者名)

一年以上継続

合計

1989 ジ・エッジ(長沢克泰)

×

サイボーグじいちゃんG(土方茂)

×

てんで性悪キューピッド(冨樫義博)

×

カメレオンジェイル(井上雄彦)

×

ドラゴンクエスト−ダイの大冒険−

オートマチックレディー(のむら剛)

×

1990 酒呑☆ドージ(梅澤春人)

×

GPボーイ(赤井邦彦・鬼窪浩久) ×
珍遊記(漫☆画太郎)
メタルフィニッシュ(宮崎まさる・鶴岡伸寿) ×
1991 アウターゾーン(光原伸) ×
タイムウォーカー零(飛鷹ゆうき) ×
天外君の華麗なる悩み(真倉翔) ×
天より高く!(浅美裕子) ×
天然色男児ブライ(高橋一雄) ×
1992 モンモンモン(つの丸)
柳生烈風剣連也(野口賢) ×
究極変態仮面(あんど慶周)
サイコプラス(藤崎竜) ×
1993 ファイアスノーの風(松根英明) ×
原色超人ペイントマン(おおた文彦) ×
VICE−ヴァイス−(柳川よしひろ) ×
超弩級戦士ジャスティス(山根和俊) ×


(年平均)

23タイトル
(4.6)

継続率17.4%  

『ジャンプ』1989〜1993より作成

 2作目がヒットしたマンガ家はまだいい。だかそんなパターンは稀である。ここで打ち切られたマンガ家と、二節のマンガ家専属制度が大きな問題として絡んでくる。

 知っての通り、『ジャンプ』には専属契約を結ばないとデビューできない。だからといって1年間は必ず作品を掲載してくれるのかというと、そんな保障はどこにもない。雑誌の総ページには限りがあるから、マンガ家はそのスペースに潜り込もうとして次回作を死に物狂いで描く。しかしその作品が編集部で認められなければ、描き直しかボツになる。もし認められたとしても、控え原稿になり掲載されなければ、原稿料は支払われない。じゃあ他誌に描こうかと思っても、専属契約を交わしているのでそれもできない。それは飼い殺し同然であり、一方的にマンガ家不利な環境ができているのである。つまり使い捨ての考え方なのである。捨てられて消息がわからないマンガ家など、山ほどいる。

 

 

 

 

 

  

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