エロ本探検隊

 男っていうやつはガキの頃からスケベなもんです。親父が読み捨てた週刊誌のグラビアや、テレビドラマの濡れ場なんかを目にした日にゃあ、いけないと思いつつもたしかな満足を感じてしまうものでした。

 そんな困ったガキんちょにとって、目ン玉が飛び出るような刺激的な番組があったんですね。その番組の名は『独占!女の60分』。土曜日の昼にやっていた番組で、その題名の通り、複数の女性レポーターが最新の流行や風俗を紹介するという情報番組でした。

 まあ最近でもそんなような番組は山ほどあるのですが、この番組はけっこうエロ関係の風俗を紹介することが多かったんですよ。昼間の番組なのに(笑)。折りしも世の中は「ノーパン喫茶」全盛時でした。最新風俗を扱うこの番組にとって、見逃すことはできない風俗情報です。おそらく初オンエア時にかなりの反響があったのでしょう、数回にわたってレポートがあったのを覚えています。

 偶然にもそのオンエアを目にしたオレは、翌週興奮した面持ちで友達に伝えました。

「す、すごいんだよ、ぱ、ぱんつをはかない女の人がコーヒーを運んでさ・・・」
「何それ!?スゲー!!」

みたいな感じです。この「ノーパン喫茶情報」は瞬く間に悪ガキたちの性的好奇心をわしづかみにし、翌土曜日には学校が終わった後に、6〜7人がオレの家に集合して『独占!女の60分』を集団鑑賞ですよ(笑)。ガキのエロパワーも大人と遜色ありません。幸運なことにその日も「ノーパン喫茶情報」がオンエアされたので、オレたち悪ガキ軍団は異様な盛り上がりをみせる結果となりました。明らかにカルチャーショックを受けている友人の表情を見るにつけて、オレは彼らを大人の世界に見事導いた伝道者としての満足感をヒシヒシと感じてました。

 そんな大人への扉を開いた矢先に、井塚くん(仮名)がある企画を提案したのです。それは

「これからみんなで本屋にエッチな本を見に行かないか?」

という、駅前の本屋に繰り出して、エロ本コーナーをみんなでチラ見しようという大胆な企画でした。

「そ、それっていわゆる・・・」
「そう、探検だ!オレたちは『エロ本探検隊』だ!」

それは『川口浩探検隊』も真っ青の、『エロ本探検隊』が結成された瞬間でした。ノーパン喫茶情報ですっかり興奮した探検隊の面々は、早速チャリンコを飛ばして駅前の本屋に向かったのです。

 土曜の昼下がり。書店内は客も少なく、ひっそりとしていました。エロいといってもまだまだ小学生です。恥ずかしさもあって、即エロ本コーナーに向かうことはできません。探検隊は漫画コーナーなどにちらばって虎視眈々と時をうかがいました。不自然な動きを繰り返しながら、徐々にエロ本コーナーに近づく探検隊。まずは歩きながら積んであるエロ本の表紙をチラ見。まだまだ手にとってページをめくるという大胆な行動なんてできません。しかし時間が経つにつれて、探検隊の行動はエスカレートしていきます。というか、面々は飽きてきたんですね。ちまちました行動に。マンガを立ち読みしていた友達の前に、開いたエロ本を置いて

「あ〜っ、○○がエロ本読んでるぞ!」
「何すんだよ〜!読んでねーよー!」

なんていたずらが始まりました。そうなるともう後はメチャクチャです。この時点で「みんなで協力してエロ本を鑑賞する」という探検隊の初期目的はどこかにすっ飛んでしまい、「いかに誰かを辱めて笑いものにするか」という、恐怖のゲームのゴングが鳴ってしまったのです。ガキんちょの羞恥心を見事に刺激したこのデスゲームは瞬く間に激しさを帯び、店内は悲鳴と罵声で大騒ぎになりました。

「こらっ!君たち何をやってるの!」

 店のおばさんの一喝で、探検隊は我にかえりました。店の中でそんなに騒いだら、怒られるのは当然です。店内には戦場の跡のような、散乱したエロ本。そんな中、店のおばさんが探検隊に下したおしおきは

「君たち○小の生徒でしょ!校長先生に言いつけるからね!」

という、厳しいものでした。探検隊は蜘蛛の子を散らすように本屋から退散し、学校で先生に怒られることに怯えながら週末を過ごしたのでした。エロ本が原因で怒られたというなんとも情けないシチュエーションは、これ以上他人に知られたくないものです。おばさんの一言は探検隊にとってまさに「死の宣告」でありました。

 翌週、ドキドキしながら登校しましたが、探検隊にお叱りはありませんでした。おそらくおばさんも本当に学校に告げ口する気はなく、悪ガキを懲らしめるための脅しだったのでしょう。とにかく探検隊の恥はこれ以上広がることなく、事なきを得たのでした。

 ちなみに数年後、オレはこの本屋でエロ本を購入し、見逃してくれた恩を売り上げという形で返したのでした(笑)。

(2005年6月12日)

 

 

 

 

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