危険な催眠術

 注意!!これから書くことは、決してマネをしてはいけません!

 この注意を守らなかったことによる事故について、オレは責任をもてません。

 のっけから物々しいが、今回の話はちょっと危険なので。ホントに。

 あれは小学5年の頃だったと思うが、リトルリーグ内である「催眠術」が流行したときがあった。リトルリーグは地元の複数の小学校から子どもが集まるので、様々な遊びが集中するいわば「遊びのターミナル」の役割を果たしていた。

 この「催眠術」もどこかの小学校から流行ってリトルに持ち込まれたのであろうが、好奇心旺盛な子どものコミュニティにおいて、それは瞬く間に流行した。

 まず催眠術の手順であるが、マネをされるとイヤなので絵は無しで説明すると

@術者が相手の両手を自分の両手で握り、目をつむらせて、ブラブラさせる
Aブラブラさせながら、相手に深呼吸を数回させる(「吸って〜、はいて〜」みたいな)
Bある程度深呼吸をさせると、最後に大きく息を吸わせる
C「はい止めて!」と息を止めさせる
Dおもむろに相手の背中に両手をまわし、プロレス技でいうところの「ベアハッグ」の体勢で相手の腹をきつく締め付け、左右にブンブン揺らす。
Eそうすると、何回かのシェイクで、相手はコロっと気を失ってしまう!

 ここまで書いて、みなさんお気づきでしょう。

これって落ちてるだけじゃん!!

 いや、その通りなんだけどね(笑)。柔道でいうところの、締め技で落ちたのと同じなんだよね。だから危険なの!自ら落ちにいくような、危険な遊びだったの!ホントは催眠術でもなんでもなかったのである。

 しかし子どものころはそんなことわからないので、「落ちる」感触がおもしろくて、何度も何度も「落とされて」喜んでいたのだ。だって寝ちゃうんだもんね。そりゃ「催眠術」だよ、子どもにとっちゃさ。

 「催眠」にかかる状況を説明すると、息を止めて揺らされていると、だんだん意識が遠のいてくる。目をつぶっているのに、万華鏡のような、カラフルでいろいろな幾何学模様が現れては消え、耳鳴りがし、それにともなって周りの声が小さくなっていき・・・そして完全に意識がなくなる。

 どれくらい眠っただろうか、オレはグラウンドに寝そべっていた。徐々に周りの音が聞こえ始め、目が開いてくると、上から何人もの顔が心配そうにオレをのぞきこんでいるのに気づく。その光景は、何かの事故にあい、気づいたら病院のベッドの上で家族がのぞきこんでいる、というものに酷似していた。

「いやー、なんかよく寝たなあ」

なんていうと、

「10秒くらいしか寝てなかったよ」

なんて言葉が返ってきた。思ったよりも短い時間で、深く眠れるらしい。これを利用すれば、睡眠圧縮法が確立できるのでは・・・とか、余計なことは考えなくてもよい。

 吉山(仮名)くんがかかったときは、少し怖かった。彼は突然ぶっ倒れ、白目をむいて、釣り上げられた魚のようにピクピクと痙攣をし始めたのである。その当時は彼のリアクションに一同爆笑してしまったのだが、今となっては、かなり危険な状態だったと、背筋が冷たくなる思いだ。無事に蘇生した吉山くんは、ぶっ倒れたときに頭を石にぶつけたらしく、脳天から流血をしていた

 星川(仮名)くんは、もっとひどかった。いや、彼の場合は肉体的にひどかったわけではなくて、そのシチュエーションが笑えた。

 星川くんは、休憩時間にマウンドの上でこの催眠術をうけて、気持ちよく?失神してしまった。するとタイミングの悪いことに、コーチから休憩終了を告げる「集合」がかかったのである。怖いコーチの集合は絶対なので、寝ている星川くんを置き去りにしたまま、みんなベンチへ走ってしまった。するとどうだろう。とても不思議な空間が出現したのである。

 コーチを中心にベンチで整列する選手。そしてマウンドで大の字になっている星川くん。彼の眠りっぷりは、伊豆熱川「バナナワニ園」のグーたらワニを思い起こさせるような、それはそれは見事なものだった。それをみたコーチの一言。

 「なにやってんだ?アイツは」

 あまりにまとも過ぎるコーチの突っ込みに、内心吹き出したくてたまらなかったのだが、変なとばっちりをうけたくなかったので必死でこらえた。10秒後、星川くんは無事に?蘇生し、照れながら整列に戻るのであった。

 P,S ホントに真似しちゃだめだよ!

(2003年12月22日)

 

 

 

 

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