ペナン島旅行記(その2)

〈SCENE5〉リゾートの夜明け

 男は深い眠りの中にいた。長いフライトで疲れきっていた体が、それを欲していたのである。すると耳元で電話がなった。頼んでおいたモーニングコールだというのは、すぐにわかった。

「Good morning.」

「オ〜、センキュー」

カッコつけてエセ流暢な英語で答えたが、その機械チックなモーニングコールに

「ふっ、オレってばテープ相手に本気で返事しちまったかな」

と、男が少し頬を赤らめたかどうかは定かではない。

 どちらにせよ、ペナン島に着いて初めての朝だ。男はおもむろにカーテンを開けた。

「おおおお〜っ」(ちょっと感動)

窓の外はすぐに海。いわゆるシーサイドビューというやつだ。まぶしい朝焼けの景色が、男の網膜に飛び込んでくる。男は真っ白なローブを身にまとい、カップに注いだブラックのコーヒーをすすった。

「う〜む、絵になる」(自画自賛)

やはりリゾートはこうでなければいけない。ブラックのカフェインが、男の脳を徐々に活性化させていく。その活性化した脳で男が

「ブラックといえば、ブラックビスケッツはもう活動しないのだろうか」

と、リゾートに来てまで全く考える必要のない、ブラビだけにあまりにも『タイミング』の悪いことを考えていたかどうかは定かではない。

朝焼けがキレイなペナンの夜明け。    シービューの部屋でコーシーをすするオレ。ダバダ〜♪

〈SCENE6〉ブレックファースト

 男は朝食をとることにした。ホテルのレストランで席につくと、マレー系の給仕さんがメニューを持ってきた。男はこの給仕さんに「ゴンザレスくん(仮名)」という名前をつけた。

 メニューはパン類・卵料理・ベーコン等の添え物の3種からなっていた。パン類からはトースト、パンケーキ、ワッフル等が選択できる。男はワッフルを選んだ。するとゴンザレスくん(仮名)はやや困った表情をし、こういった。

「Sorry, it’s finished.(すいません、終わってしまいました)」

ちょっと来る時間が遅かったのか。男は涼しい顔で「OK」と答え、トーストを頼んだ。このとき男が

「ベルギー人が多く宿泊しているのかな」

と、ワッフルといえばベルギーワッフルという、至極単純極まりない想像をしていたかどうかは定かではない。

〈SCENE7〉島内観光

 9:00。男がホテルのロビーで、現地ガイドさんと待ち合わせをしている時間だ。今日は午前中、ホテルのあるジョージタウンを中心に観光をするのである。時間になると、松木安太郎似の現地ガイド、『淋病』のリンさんが笑顔でやってきた。男はワゴンに乗り込み、いざ観光へと出発した。

 ジョージタウンは車が多い。そしてスピードもすごい。街は一方通行を基本にデザインされており、各種のポイントで合流地点をつくり、方向変換するような仕組みになっている。両面通行とどちらが機能的なのかはよくわからないが、そのために目的地にいくのに遠回りをしなければならないという事実もある。反面、渋滞を緩和している利点もありそうだ。

 そして信号が異様に少ない。歩行者を中心にした街づくりは考えていないようだ。よって、道を横切るのは命がけである。昔「クロスハイウェイ」という、車をよけて道を横断するゲームウォッチがあったが、ここではそれをリアルに実体験できる。それでは観光の続きといこう。

【コーンウォリス要塞】

 コーンウォリス要塞は、イギリス統治下だったときの要塞である。全盛期には英国王室の砲兵隊の駐屯地として、その機能をはたしていた。すえつけられている大砲は真鍮製で、なぜかこの大砲に触れると「子宝に恵まれる」という信仰があるらしい。それを聞いた男が、

「ひょっとしてこの大砲を、ちん○んと仮定しているのか?」

と、余計なリンガ(男根)崇拝をイメージしてしまったかどうかは定かではない。

海軍チックな帽子と、銃を持たされて。右の銅像は、島の発見者であるフランシス・ライト。       島を守る大砲。ここにもリンガ崇拝が!ちゅど〜ん。

【マハ・マリアマン寺院】

 車はインド人層が多く住む地域へ到着。目の前には様々な神様が彫刻された門が。ここが1883年に建設されたヒンドゥー寺院である『マハ・マリアマン寺院』だ。入り口からして浮浪者(失礼)っぽいオッサンがたむろしている。ガイドさんがいなければ、おっかなくてまず入れないであろう。

 門をくぐると、信心深いインド人の方々がたくさんお参りをしていた。ガネーシャやドゥルガーと思われる像が所狭しと鎮座されている。男は神話をモチーフにしたゲーム『真・女神転生』シリーズの熱烈なユーザーだったため、ヒンドゥー関係にはけっこう詳しかった。それを知らないガイドのリンさんが

「この神様知ってますか?」

「ガネーシャですね」

「・・・・これ知ってますか?」

「シヴァですね」

「・・・・こ・・・・」

「カーリーっすね」

と、質問するたびにサクサク答えてしまったので、ちょっと大人げなかったかなと男が思ったかどうかは定かではない。

ちょっと白くなってしまったが、マハ・マリアマン寺院です。      ガイドのリンさんが、チャイをおごってくれました。

【寝釈迦仏寺院】

 車はジョージタウン中心街からちょっと離れた場所へ到着。『寝釈迦仏寺院』である。ここはペナンを代表するタイ式の仏教寺院で、「リクライニング・ブッダ」という、いわゆるお釈迦さんの涅槃(ねはん)像があるので有名だ。

寝釈迦仏寺院入り口。金と原色の色使いがとっても派手。

 釈迦の涅槃像といえばミャンマーのシュウェターリャウン・パゴダや、同じくマレーシアのワット・ポティビハンが有名だが、ここの涅槃像も全長33メートルと大きい。タイの寺院では信者が仏像に金箔を貼り付ける習慣があり、どの像も金ピカに輝いていてとても派手だ。それを見た男が

「東進ハイスクールの金ピカ先生も、ここにくればホントの金ピカになれたのにな」

と思ったかどうかは定かではない。

全長33メートルのお釈迦さま。寝っぱなし。    参考:金ピカ先生。

 イギリス・インド・タイと、マレーシアにいながらにして、なんと3カ国分の体験をさせていただいた。なんともお得!

〈SCENE8〉プールサイドにて

南国ムードたっぷりのホテルのプール。気持ちいい。超気持ちいい。 午前中で島内観光を終えた男は、午後からはホテルのプールで優雅な時間を過ごすことにした。青い空、白い雲、南国風の木々、花。このトロピカルな景色を見つつ、プールで優雅に昼下がりを迎える。これだ、これがリゾートだよ。

 男がプールサイドに着くと、白人が数人、デッキチェアでペーパーバックを読んでいた。そうだよ、やはりプールサイドでは本を読まなけりゃリゾートじゃないんだよ。この辺も男にぬかりはなかった。成田空港の本屋で、本を用意していたのである。

『歳三からの伝言(北原亜以子著:講談社文庫)』

 シブい。シブすぎる。リゾートで読んでいる本が、新撰組ネタ。サンサンと輝く東南アジアの太陽を一身に受け、攘夷だ官軍だ、錦の御旗だなどという明治維新の戊辰戦争を貪り読み。隣の太った白人オッサンも、まさかこんなにシブい本を男が選択していたとは気づかなかったであろう。

 プールも広々としていい気持ちである。男は泳いだ。しゃにむに泳いだ。しかし外人は本ばっかり読んでいて、ここまで必死こいて泳いでいるのは、実は男だけであった。それにもめげず、男が

気持ちいい。超気持ちいい※音声がでます

と、北島康介ばりに叫んでいたかどうかは定かではない。

プールサイドでわざとらしいポーズをとるオレ。   プールサイドに我が物顔で来ていた鳥さん。かわいい。

暑いのでちょっと日陰でひと休み。   喉がかわいたなと、プールの水をがぶ飲み。アホっぽい。

まだまだつづく

(2004年9月18日)

 

 

 

 

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