「てめぇの馬鹿さ加減にはなぁ、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ!」のフレーズで有名なテレビドラマ『あばれはっちゃく』。土曜の夜7時半からの番組だったので、『8時だョ! 全員集合』や、『オレたちひょうきん族』へつなぎとしてよく見ていました。

 勉強は苦手だけど、元気溌剌で体力が有り余っている小学生主人公・桜間長太郎が、いろいろと事件を起こしたり巻き込まれたりするのがストーリーの定番でした。長太郎はガキ大将というよりは、正義感のあるちょっと乱暴で素行が雑ないたずら小学生といったキャラ設定で、それだけに何か事件が起こると濡れ衣を着せられて誤解され、親からぶん殴られる(ここで冒頭の「てめぇの馬鹿さ加減にはなぁ、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ!」が登場します。もはやお家芸(笑))といった理不尽な生活を送っている小学生でした(笑)。でも彼は基本的に弱きを助け、強くをくじく少年であり、損な役回りでありつつも、自分に正直に生きているところが、全国のちびっ子の共感を生み、支持されていたのだと思います。

 オープニングの主題歌も印象に残っています。「無理すんな、無理すんな♪」といタンゴ調の出だしはザ・ピーナッツの『恋のフーガ』を思い起こさせます。歌詞も「ボクは賢いよい子です♪」といったいかにも優等生を演じるぞ〜的なフレーズが並ぶも、サビのところで「なんちゃ〜って、なんちゃって〜 その気もないのに無理すんな♪」と猫かぶりをやめて、本来のいたずら坊主に様変わりするといった、遊び心溢れる主題歌でした。前半の真面目な印象から後半に突然本性を現すパターンの歌詞は、植木等の『ハイそれまでヨ』を彷彿とさせます…ごめん、ザ・ピーナッツとか、植木等とかわからないよね(苦笑)。私もリアルタイムではないんですけど(笑)。

 彼の素行もなかなかのインパクトでした。たしか実家は理髪店を営んでいたのだと思うのですが、学校から帰宅して店のドアを開けるや否や、「母ちゃんただいま!」とランドセルを放り投げ、即座に遊びに出かけるといったその動きは、実生活ではなかなかできないけどやってみたいという全国のちびっ子たちの欲求を満たしてくれたし、桜間長太郎というキャラが悪ガキであるという印象を、視聴者に対して強烈に根付かせていました。また、放り投げられたランドセルを毎度見事にキャッチする母親もなかなかに印象的でした(笑)。

 その他のキャラクターで個人的に印象深いのは、長太郎の比較対象であるガリ勉兄貴ですね。暴れん坊の弟と優等生の兄という、素敵すぎるほどベタな家族構成がたまりません(笑)。この兄貴がイヤミなやつであるほどちびっ子たちは長太郎に肩入れをし、番組に釘付けになるわけです。あの兄貴はねえ、いいスパイスですよ(笑)。

 ストーリーの演出法としては序盤に長太郎が理不尽な嫌疑をかけられるというストレスを視聴者に与え、中盤からその誤解をときつつ、ラストに痛快な汚名返上をするという流れで視聴者のフラストレーションを解消するという手法でした。

 この中盤からの誤解を解く流れにおける重要なムーブが「逆立ち」です。長太郎は現状打開策を得るための儀式にこれを使い、逆立ちをしながら「ひらめけ〜、ひらめけ〜」と呪文のように自問し、「ひらめいた!」とパッと目を見開き、ひらめいた解決法を実践に移すのです。この一連の流れこそ『あばれはっちゃく』という番組を象徴するものであり、全国のちびっ子に強烈な印象を植え付けた演出でした。これはアニメ『一休さん』にて座禅を組んで行われる、「ポクポクポク、チーン!」に通ずるものがあります。

 

 思うに彼が行っていたのは一種のメディテーション(瞑想)であり、社会人でいうならば、突きつけられた問題へのソリューション捻出活動ともいえます(笑)。こんなことを毎週毎週行っていた彼にはハンパない問題解決力が身についていたはずだし、しかも即実践行動に移る行動力も備えていただけに、将来的には企業が喉から手が出るくらい欲しい人材に育っていたはずです。いや、私だったら即採用しますよ(笑)。それを思うと、親から怒られてばかりのバカ息子というレッテルを貼られていながらも、彼の前途は輝かしいものだったのではないかとこの年になって思います。でもさすがに社内で逆立ちをして考え事をしている人は見たことないですけどね(笑)。

(2015年6月23日)

 

 

 

 

 

  

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