物心ついた頃のブラウン管でのアイドルっていうと、ピンクレディーや沢田研二がまずはじめに頭に浮かびます。記憶が消去されずに脳内に残った最初のアイドル、いうなれば第1次オレ的アイドルとでも申しましょうか(笑)。その第1次アイドルから数年経ち1980年に突入すると、その新世代をスタートラインとするかのように、続々と新しいアイドルがデビューしました。松田聖子、田原俊彦、河合奈保子、近藤真彦といった面々です。私にとっては第2次オレ的アイドルですね。個人的には1980年をスタートとしたこの世代こそ、アイドルというジャンルがメディアの花形として一番光り輝いていた黄金期だったと感じています。

 そんな中でも突出したアイドルといえば、やはり松田聖子でしょう。子ども心にも「あ、この人だけ図抜けているな」と思いましたもん。デビュー曲こそバカ売れしたわけではありませんが、セカンドシングル『青い珊瑚礁』のインパクトは絶大でした。サビから始まる楽曲は耳に残るし、歌もうまい。その後曲を出せば歌番組の常連となる彼女は、まさにお茶の間になくてはならないタレントとなったわけです。『聖子ちゃんカット』なる髪形も日本中に影響力を及ぼし、その後デビューするアイドルが総じて同じ髪型でデビューするといった現象まで発生しました。80年代前半のファッションリーダーとしても、彼女はその才能をいかんなく発揮したのです。そしてなんといっても彼女の一番の才能は、「徹底してアイドルを演じたこと」ではないでしょうか。そのプロ根性は脱帽ものでした。

 というのも、私が幼少期に植え付けられた「女性アイドルの定義」なるものは、ほぼ彼女から構築されたのではないかと、今になって思うのです。

・アイドルは常にかわいくなければならない
・アイドルは特別な彼氏がいてはならない
・当然浮いた話などあってはならない
・私生活において生々しい肉体関係などもってのほか
・アイドルはウンチやおしっこをしない
・とにかく人間の汚い部分はあってはならない

といったような、現在の平成アイドルにはそこまで求められていない清純さ・清潔さのイメージが徹底して守られていたように思います…まあ幼少期の私の目線だからこそそう感じただけで、もっと上の年齢の人には、結構あざとく見えていたでしょうけど。「ぶりっ子」という揶揄が流行語になったのも、そういった理由なのでしょう。そこを差し引いたとしても、平成アイドルとはかけ離れた厳しいアイドル像を演じようとした彼女の努力というのは、評価されていいのではないかと思います。

 そんなイメージづくりのおかげか、彼女の主演映画ではキスシーンがある、ないだけで話題になっていた記憶があります。いまどきキスシーンくらいで話題にあがることすらないと思いますが、当時は一大事でしたからね(笑)。お相手は誰だったかなあ。中井貴一かな。当時は親衛隊のみなさんの熱狂ぶりもすごかったので、こんな仰天なシーン、裏切りも同然ですよ(笑)。でもキス一つで映画への興味を引き寄せる力というのは、彼女が取り組んできた「アイドルを演じる」というプロ根性の賜物だとも思いますね。

 そんな彼女も郷ひろみとの破局あたりから人間の生々しい一面を表に出すようになり、一転してスキャンダラスなイメージで世間を騒がせるアイドルとなりました。無垢なアイドルから時間を経て人間味溢れる芸能人に変化するという、見事なまでの自己演出。まあ偶然も重なったとは思いますが、自身の成長をそのままブラウン管に映し出すようなその演出は、昨今のアイドルではなかなか見られないもののように感じます。

 彼女のベスト盤を持っていますが、やはり80年代前半〜中盤にかけての曲は思い出補正を差し引いても、どれも珠玉に思えますね。ちなみに私が一番好きなのは『風は秋色』です(笑)。

(2015年2月8日)

 

 

 

 

 

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